禁断の味はチョコレートのように
「実に素敵だ」
翔太が店に来たときには、杏は頭から足下まで全て翔太が選んだ物に身を包んでいた。
髪の毛はふんわりと巻かれ、ドレスのようなワンピースもロングながら杏が体形を気にするのを考慮してか上品なもの。
メイキャップは杏の白い肌を引き立てるように艶やかな赤のグロスで、翔太は予想していた仕上がりに笑みを浮かべる。
「こんなに豪華なこと、困惑しているのに」
不満を口にする杏に笑顔を向けると、翔太は持っていた紙袋から箱を出す。
それを杏は見て驚いた。
高級ジュエリー店のロゴの入った袋だ。
近くのスタッフが手伝い箱を開け、翔太はそこからネックレスを取り出した。
そしてそれをV字に開いた杏の胸元に後ろからつけた。
「うん、これで完璧」
杏の胸元に輝くのは一粒のダイアモンド。
店の照明を全て跳ね返すかのように光が焼き、その大きさに杏は驚いた。
「翔太さん!」
「良いじゃ無いか。俺は女性にネックレスを贈るのが好きなんだ。
似合っているよ、杏。
さて予約の時間に間に合わない。行くよ」
さっと腕を差し出した翔太に、杏は慣れないヒールの高い靴で歩くのが助かる。
このヒールの高さも計算のうちだろうかと杏は思った。