禁断の味はチョコレートのように



部屋はかなり広い。
大きなソファーに、大きなダブルベッド。
夜だが大きな窓から差し込む夜景の灯りで部屋の中がわかる。

窓に駆け寄っている杏を横目に、さっと翔太は広いパウダールームでうがい手洗いを済ませる。
これから女性に触れるのには、これくらいはマナーだ。

女性は心が満たされるものを味わいたい。
それには自分が大切にされていると感じることが大切。
翔太は何食わぬ顔でパウダールームから出てきて、不思議そうな顔をしている杏にテーブルの上に置いていたチョコの紙袋を持ってくる。

そしてクローゼットに自分の上着を掛け、ネクタイを緩める。
そこは女性に見せるのが効果的。
案の定戸惑ったように杏が見ているのがわかって可笑しくなる。

ワインは先に部屋に入れておくようオーダーしていたので、テーブルにグラスと供に用意してあった。

「ほら、杏、こっちに」

二人がけが向かい合わせにあるソファーなのに、翔太は自分の横を杏に言った。
杏は戸惑いながらも従う。
少しだけ二人の間に距離があるのが今の関係を表すようだ。

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