禁断の味はチョコレートのように



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あれから杏と翔太は定期的に会うようになった。
忙しい翔太は仕事がその後もあるから夕食だけとそれだけで解散することもあれば、どこかのホテルで一夜を共にすることもある。

出来るだけ時間を作って会おうとする翔太に、杏は嬉しく感じると供に罪悪感も湧く。
それだけ妻との時間を減らしている、それを気にして翔太に聞いたこともあったが、翔太は自分の趣味の時間を杏に使っているだけだと言った。

趣味の時間。
その言葉は杏は翔太にとって趣味の一つだと思い知らされた。
だがこれだけ会って肌を重ね、好きだとお互いベッドで口にすれば、杏としては感情のコントロールが効かなくなるのではと怖い。

こんなに好きだと言ってくれるなら、こんなに私に時間を割いてくれるのなら、と自分が翔太の妻になる可能性が頭の中に過る。
それを翔太は見透かすように、

「俺は妻と別れることは無い。だけど君が一番なんだ」

と甘く、そして寂しげに杏に囁き、翔太は自分の渡したネックレスに触れる。
それは杏にとって甘いチョコレートと逃げられない首輪をされているようなのに、それが嫌だとは思えない。

どうしたらこの関係は終わるのだろう、杏は終わらせたくは無いのに終わりたいという気持ちの狭間で葛藤する日々が続いていた。
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