禁断の味はチョコレートのように

質問したはずが何故か質問を返され、利奈は戸惑いながらもえぇと答える。
それを聞き、杏は微笑む。

「あの人の本当の相手にと思ったことが無いわけじゃ無いです。
それだけ好きだから付き合っていますし。
だけど利奈さんからきいて、きっと結婚すればお互い見なきゃならない面倒なところを、この関係って見ずに済んでいるんですよね。
それは彼も同じだと思います。
彼にとって人生のパートナーは今の奥さんだけ。
私は彼の趣味の一つなんです。
そして趣味だとしても彼の恥にはなりたくない。
・・・・・・あんな人に相手をされてたら、大抵の男性が霞んでしまいそうで怖いんですけど」

自分の立場は理解している。
そうしなければ見失ってしまう。


結婚すれば生活を共にし、それは小さな事の違いでもストレスになるだろう。
不倫はそういう面倒で現実的な部分を味わわない。
だからこそ楽しく気楽なのだ。

杏の覚悟に利奈は驚いたが、それだけ心が揺れていることもわかる。
きっとこういうことは経験した者にしかわからないものだろう。

しかしどこかで引き際を決めなければならない。
または突然終わりが来るか。
それなら自分たちの意思で終わらせたい。

杏も利奈も同じようなことを思いながら、なんとなく再度お酒の入ったグラスを二人で掲げた。

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