禁断の味はチョコレートのように
「こちらこそ。
君はもっと素敵になる。
やりたいことを胸を張ってやっていい。
今まで趣味と思っていたこの関係が、こんなにも苦しいと思ったのは初めてだ」
翔太の声は低くそして感情を殺すようで、始めて聞くその声に杏の涙が溢れる。
彼を少しは揺さぶることが出来た、それが自分へのご褒美に思えた。
「今日が最後の時間だろうか」
翔太が覚悟を決めたように声を出す。
いつもは余裕で送り出していた相手に、こんなにも執着するとは思わなかった。
もう可愛い笑顔にも、一緒にいれば温かくなっていた心を肌を味わうことも無い。
そう思うと何とかして引き留めたいと想う気持ちがある。
そして出た言葉が先ほどの言葉だった。
杏が翔太の頬を両手で包む。
こんなにも心から自分を惜しんでくれていることがわかり、杏はようやく満たされた気がした。
後は少しでも、近くにいる時間を供に。
「うん、朝を一緒に迎えるのはこれで最後。
だから、一番側に行きたい」
杏の笑みに、翔太は目を細め顔を近づける。
「そうだね、最後、最高に甘い物を味わわせてくれ」
翔太は引き寄せていた杏をベッドに連れて行き、自分の下にいる杏にキスをする。
そのキスはすぐに深いものになり、むさぼるようにキスをしながら二人の手は固く結ばれていた。