禁断の味はチョコレートのように
「よく来てくれたね。仕事後でお腹が減っているでしょう。
君が杏ちゃんかな?初めまして川島です。
利奈ちゃんから話は聞いているよ。
初めての場所は緊張するよね、そこに二人とも座って」
杏は川島という男にも驚いていた。
年上のように思えるが、童顔のせいなのか若く見える。
身長は170センチ超えてはいるのだろうが、あまり男物を知らない杏が見てもスーツ姿は同じ会社の男性とは違うとわかるほどに質が良い物を着ているとわかった。
川島にボックス席に案内され杏と利奈が並んで座れば、食事を取ってくるねと笑顔で川島は離れる。
「どう?この出来る男って感じ」
「いつも飲み会で男性の世話をするのは女性陣ですから確かに感動ものですね」
でしょう?と利奈は嬉しそうに言っている。
周囲を見てみれば男性も女性もレベルが高い。
男性が年上の方が多そうに見えるが、女性をエスコートするのが普通のようだ。
「お待たせ」
川島が手に料理の乗った皿を持っていて、その後ろには男が一人飲み物を持っていた。
それを杏は不思議そうに見上げる。
「こいつは俺の友人。暇そうにしてたから運ぶのに使ったんだ」
「川島さんの無茶な要求はいつもの事ですから」
「だから安心して仕事をお前に頼めるんだよ」
「それは光栄ですね」
自然と二人は杏と利奈の前に座る。
杏の前に座ったのは、仕立ての良い濃い色のスーツを着た男。
焦げ茶色の髪、整った顔立ちだが目が鋭く、杏は目が合った途端に何故か怖いと感じた。
心の中をのぞき見るようなそんな目。
杏の身体がゾクリと震えた。