嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???
玄関にある学校の貸し傘が
最後の1本だった
ラッキー!
手に取って玄関から出たら
誰かいた
ドキン…
私の胸が高鳴る人
ひとりしかいない
「涼…」
「あ…芭…」
「誰か、待ってるの?」
誰かと待ち合わせなのかな?って
周りをキョロキョロした
来るのはきっと
男子じゃなくて女子な気がして
身体がザワザワした
「誰も来ないよ」
「嘘
じゃあなんで帰らないの?」
別れてから
初めて交した会話
「傘、最後の1本
芭だったね」
涼は私が手にした傘を見て言った
「あ、コレ…うん、最後の1本だった
涼は?傘ないの?」
あ…
待ち合わせしてる女の子が持ってるのか…
なるほどね
「最後の1本だったから
悪いな…って…
芭でよかった」
「え?
ホントは涼が最後の1本だったの?」
「うん
でもオレが使ったら
誰か次に来る人が濡れちゃうな…って…」
この人は
こーゆー人だった
いつも自分より誰かを優先して
自分は後回し
優しくて損する
人が困るなら
自分が困った方がまし
そう言ってた
「涼、使ってよ」
「いいよ
もう少ししたら止むでしょ」
「止まなかったらどーするの?」
「そしたら濡れて帰る
だから、芭使いなよ」
別れた私にも優しんだ
涼に優しくしてもらう資格
私にはもぉないよ
「じゃあ…涼がよかったら
一緒に入る?」
前は普通に一緒に入ってたじゃん
それも1人ずつ貸し傘借りたら
誰か1人濡れる人が増えるから
ふたりで1本借りようって
涼、いつも肩が濡れてた
「んー…オレは別にいんだけど…
芭は、大丈夫なの?」
「うん
駅まで一緒でしょ」
「そーゆーことじゃなくて…」
「あ…別れたから?
別に涼が気にしてなかったら
私は大丈夫だよ
涼は…?困る…?
あ、そっか…それだったら…」
涼、カノジョできた?
できたんだ
そっか…
「オレ塾なんだ
助かる
じゃあ、塾まで一緒に入れて」
グダグダ言ってる私の手から
涼が傘を取って開いた
「行こう」
傘に入ったら
懐かしい匂いがした
ドキン…
好きな人の匂い