指輪を外したら、さようなら。
私も気になっていた。
だから、あきらから早めにランチの計画を立てようと言われた時、すぐさま麻衣にも連絡した。
ホテルのランチビュッフェを提案したのは、麻衣。
さなえが金額を気にしそうだと、麻衣が割引券を貰ったことにした。実際は、メル〇リで購入した。
十一時から四時までのんびりできるホテルを選んで、予約した。
さなえが文字通り目を輝かせてテーブルいっぱいに料理を持って来たのを見て、私たち三人は嬉しくなった。
私も、気分転換がしたかったから、ちょうど良かった。
一人で家にいても、比呂の事ばかり考えてしまう気がした。
「今日は、麻衣から報告があるからって集まったんだよね」と、あきらが言った。
「ね? 麻衣」
あきらの意地悪そうな視線に観念したのか、麻衣が口を開いた。
「彼氏が……出来ました」
少し照れながら、麻衣が言った。
「え!? マジで!?」
思わず、声が大きくなってしまった。
飲み会の様子では、こんなに早くまとまるとは思っていなかった。
「誰!? 後輩君!?」
「うん……」
「告られたの?」
「うん」
「よくOKしたね? この前は七歳も年下なんて、って言ってなかった?」
はにかむ麻衣が可愛くて、思わず質問攻めにしてしまう。
「押し切られた感じ?」と、さなえが聞いた。
「麻衣ちゃん、強引なのに弱いじゃない?」
「うん……」
ああ、確かにそうかも。
「年下だけど強引?」と、私はクスッと笑った。
「激しそ」
「やっぱり……そう思う?」と、麻衣が小声で言った。
意外な反応。
実は草食系?
「違うの?」
「わかんない」
「え? いつから付き合ってんの?」
「昨日」
「マジか」
本当に、ビックリだ。
麻衣が年下……。
何となく、麻衣には頼れる年上が合っているような気がしていた。
私の攻めをかわして、麻衣が飲み物を取りに立った。さなえも一緒に。
二人になった隙に、今度はあきらに目を向けた。
「で? どうして麻衣に彼氏が出来たことを知ってたの?」
私が気づかないとでも思っていたのか、それとも、気づいていても何も言わないと思っていたのか。あきらはチラッと私を見て、小さくため息をついた。
私を侮っちゃダメよ。
「昨日、札駅で会ったの」
「ふぅん?」
続きを催促するように、チラリと横目であきらを見る。
「龍也と出掛けた」
「珍し」
恋人みたいに出掛けたりはしない、って言っていたのに。
「新しいパソコンを買うのに、車出してくれただけ」
「へぇ」
あきらの心境の変化が、嬉しかった。
少しでも、龍也の気持ちに正面から向き合ってもいいと思い始めてくれたなら、いい。
「千尋が思っているようなのじゃないから」
私の考えを、察したらしい。
「思ってるようなのって?」
「千尋!」
戻ってくる麻衣とさなえを見て、私は立ち上がった。