指輪を外したら、さようなら。

「寝室が一緒ってことは、子供も一緒の場合が多いじゃない? そうすると、さすがに眠ってる子供の隣ではスル気になれなくて、レスが長引くの。けど、子供とは別に部屋があれば、場所の心配はないでしょ?」

「なるほどね」

「さなえの場合は、大斗くんを寝かしつけた後で大和の部屋に行けばいいのよ。いきなりは気まずいだろうから、まずは話があるとか何とか言って、二人きりの時間を作ったら?」

「……」

 さなえが難しい顔をする。

「さなえ?」

「最近……、家で二人で話すことなんて滅多になくて……。だから、わざわざ部屋に行ってまで、何を話したらいいかわかんない……」

 中学生か、と突っ込みたくなる。

 この二人がレスな理由がわからない。

「それに! 大和にソノ気がなかったら? 毎日仕事で疲れてるし、大した用でもないのに押しかけて、迷惑がられたら……」

「そんなこと言ってたら――」

「じゃあ! 大和にソノ気があるってわかったら、頑張れる?」と、麻衣が聞いた。

「大和もさなえとの時間を持ちたいと思ってるのがわかったら、勇気を出して部屋に行く?」

 少し考えて、さなえが頷いた。

「けど、そんなことどうやって知るの?」

「龍也か陸から探りを入れてもらう?」と、私が言った。

 あきらから龍也に頼めばいいと思った。

「回りくどくない?」と、あきらが言った。

「匂い……とか?」

 麻衣の言葉に、一斉に注目した。

「匂い?」

 自分で言っておきながら、麻衣はとても言いにくそうに、俯きがちに言った。

「大和の部屋にさなえの服とか置いておくの。興味がなければ、すぐにさなえのとこに持って行くよね? けど、興味があったら――」

「あったら……?」

「その……、さなえを想像するのに、使った……り?」



 ……。



 麻衣の口からそんなことを聞くとは思わず、目をパチクリさせてしまった。



 想像して使うって、つまり――。



「抜くのに使うってこと?」

「千尋!」

 ストレートな表現に、あきらが慌てて私の口を手で覆った。

 このメンバーで話していると、ついオブラートの使い方を忘れてしまう。

 いつまでも大学生気分ではいけないとはわかっているけれど、つい。

 さなえは思いっきり顔を赤らめて、俯いてしまった。

「わかんないよ? わかんないけど、男の人って……そうなのかも?」

 私はあきらの手を払い除けた。

 麻衣らしくない言葉の真意が気になる。

「それは、麻衣の経験?」

「経験……っていうか……」

「鶴本くんに言われたの?」

「言われた……というか……」

「もうっ! ハッキリ言っちゃいなさい」

 じれったくて、少し強めの口調で言ってしまった。

「鶴本くんが……私の匂いのついたものがあったら、いい夢見れそうだって……言ってた……か……ら……」

「例えば?」

「え?」

「鶴本くんに麻衣の服が欲しいって言われたの?」

 麻衣が首を振る。

「じゃあ、なに?」
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