CROSS LOVELESS〜冷たい結婚とあたたかいあなた
「や……もう、やめ……」
「まだ、だ」
もう、何時間経ったのだろう。
パーティー会場からホテルの宿泊する部屋に戻った途端、蓮さんは私をベッドに連れ込み、抱かれ続けている。
夕方にはパーティー会場から出たのに、外はすっかり夜闇。そして、彼は執拗にある問い掛けをしてきた。
「あの歌は……玲にか?それとも他の誰かを想い出したのか?」
また、その詰問。
私が出したのは、額田王の一首のみ。あかねさす…の歌を好きな歌だと言っただけなのに……どうして、蓮さんはそんなに不機嫌になるの?
「違います!わ…私は…ただ……」
「ただ、何だ?」
「……ッあ!」
ぐいっと体同士が密着するほど抱き寄せられ、深く繋がり苦痛に似たなにかがせり上がる。
「なにも……私は玲さんを……っ…く」
「ああ、だろうな…アンタはオレが嫌いなんだからな」
「ち、違ッ…ん」
なにも聞きたくない、というようにキスで唇を塞がれた。
(どうして…?なぜ、蓮さんはそんなに怒るの
?私は玲さんは好きではないし…あなたを嫌ってなんてない…)
いいえ、今はむしろ……私は……あなたが……。
「考え事とは、余裕だな。なら…もっといけそうだ」
ニヤッと笑った彼は、どこか悲しそうに見えた…けれど。
「あ…あ!」
ベッドと自分が壊れるか、と思うほど強く激しく揺さぶられ、攻められ続けて。夜明けで空が白みはじめるころ、ようやく気を失い深い眠りに落ちた。