CROSS LOVELESS〜冷たい結婚とあたたかいあなた
「これを見てください」
パッと現れたのは、白黒の荒い画像。細長く黒い空白に、白いぬいぐるみみたいな小さなものが見える。
「……こ、これ…美香の…なんで!」
美香がブルブル震えだした。一体何なのかわからないでいると、玲さんは真実を口にする。
「沢村 美香の腹部のエコー写真です。妊娠15週と6日…胎児の性別がようやく判別し始める時…ですが、おかしいですよね?本当にオレと結婚してからの子どもならば、早くても妊娠6週前後のはずですよ…薫のように」
「えっ…」
玲さんの言ってる意味がわからなくて目を瞬かせると、彼はぐいっと私を抱き寄せる。
「すまない。瀬川さんにおまえの様子を見てもらっていた。ここ数日つわりのような症状があると聞いたし…彼女は経験者だから、ほとんど間違いない…と」
「わ、私が…妊娠?」
突然告げられた言葉は信じられないけれども…。
確かに、ここ数日だるさや眠気などもあって。
それが、妊娠ゆえならば……。
「……嬉しい」
ぽろぽろと、自然に嬉し涙が溢れる。
玲さんは私の指にあった指輪を抜くと、新しい指輪をはめる。
それは、上質なアクアマリンの結婚指輪。
あのペンダントと対になったようなデザインに、ペンダントを贈った本当の人は…目の前の玲さんだ、と実感した。