CROSS LOVELESS〜冷たい結婚とあたたかいあなた

「薫、今まですまなかった…だが、オレはあんたを愛してる…初めて逢った8歳の頃から…だから」

まっすぐと真摯な瞳は、私を射抜いて…心を、すべてを捉える。

「オレの妻に、なってほしい」

玲さんは改めて、私に求婚してきた。

「いいん…ですか?本当に……私で……こんな私でも」
「あんただから、オレは愛した。髪の毛一本まで愛おしい…」

玲さんは掬い取った髪に、口づける。まるで焦げるような熱を感じて…。

躊躇いも、逡巡もあった。
でも……
もう、自分に嘘はつけない。

「はい……私も、玲さんが好きです……」

泣きながらそう答えるのに精一杯で。

「ありがとう。絶対、幸せにするからな」

玲さんがギュッと私を抱きしめると、パチパチと拍手が起きる。一体誰が…?と不思議に思い目を向けて、びっくりした。

だって…

沢村防衛大臣が、この場にいらしたのだから。

「よかったよ、玲。ようやく想いが報われたな」
「ありがとうございます、お父様……ですが」
「わかってる」

沢村防衛大臣はギロリ、と当事者を一瞥するけれども。さすがの貫禄で、迫力が半端無かった。

「蓮、貴様は沢村の息子としての自覚が足りぬようだな」
「と、父さん…ですが」
「言い訳は要らぬ。住む家と職は用意してやろう。美香という女とともに、沢村家に無関係な一般人として暮らすがいい!」
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