聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース
ここだけ聞くと、地元に縛りつけようとしているのではと思われそうだが、それは断じて違う。どちらかというと可愛い子には旅をさせよのタイプで、可愛がってはもらったけど過度に甘やかされたことはなかった。


全部全部、私の性質を熟知しての意見。

孤独感に押しつぶされて勉強に専念できなくなることを懸念しての反対。


その証拠に、『無理』『できるわけない』『ダメだ』といった可能性を潰すような言葉は1度も含まれていなかった。


パジャマをギュッと抱きしめる。


約束したんだ。今よりもっと広い世界を知って、一回り成長した自分で帰ってくると。そう言いながらも地元の企業はまだ1箇所しか受けてないけど。



「大丈夫。また頑張ろう」



そう呟いて部屋を出た。

お風呂に入っている間も、自分を励まし続けた。

身体を洗っている時、髪を乾かしている時は、自己暗示をかけるように。鏡の前で呪文のごとく唱えた。


大丈夫。卒業していった先輩たちも、みなそれぞれ苦労を経験しつつも社会へ飛び出していった。

今は苦しくても、夏が終わる頃には心から笑えるようになるから。


送り出してくれた両親と祖父母に恩返しするためにも、ここでくじけてる場合じゃない──。
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