年下男子は恋愛対象になりますか?
「隼人君、久しぶりじゃーん。邪魔しちゃ悪いから帰るわ」

「お久しぶりです。美樹さんにまで迷惑かけてしまってすみません」

階段を降りながら美樹が声をかけると、隼人君が申し訳なさそうに頭を下げた。この件はスマホを見ていなかった私も悪いから、あとでちゃんと謝らなきゃ。

あ、ヤバ。

そのあと目が合ったので思わず逸らしてしまった。だって、まだどうするべきか考え中だったから。

「私は別にいいんだけどさ。あー、でもこれだけは言わせて」

美樹が靴を履いて立ったあと、小声で何かを告げている。それに対して答えたみたいだったけど、少し離れた場所に居たから聞こえなかった。

隼人君落ち込んでるし、きっと良くないこと。

「由夏またね」

「うん。帰り気をつけて」

美樹と同じように軽く手を振る。
ドアが閉まる音がハッキリ聞こえた。

「由夏さん、あの」

「話は部屋でしよ。あがって」

隼人君が座ってからコーヒーを近くに置いた。使わないだろうけど砂糖なども一緒に。

「正座はやめて。土下座も絶対しないでね」

「……はい、すみません。美樹さん泊まりにきてたんですよね?本当にすみませんでした」

いつもしないのに正座なんてしないでよ。
何度も謝られるのもだけど、そんなことしてほしいわけじゃない。

「さっき美樹に何て言われてたの?」

「……距離を置くって言われた方が、こんなに早く会いに来たらダメでしょって言われました。俺もそう思ってはいたんですけど、その、由夏さんの気持ちがどんどん離れていくような気がして」

隼人君が更に落ち込んでいる。
視線を感じたし、私の耳と左手首を見たからだと思う。

誕生日に貰ったピアスは外していて、ペアで買った腕時計もしていなかった。水族館で買ったぬいぐるみなども一緒に、あのポップコーンケースの中に雑に入れてある。

部屋の隅に置きっぱなしだし気が付いてるよね。動揺してたから片付けるの忘れてた。
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