年下男子は恋愛対象になりますか?
ボウリング場のフロアから、ゲームコーナーに移動してから寄ったトイレ。通路に出ると機械音や話し声でガヤガヤしていた。

人が多くて隼人君を見付けられなかったので、鞄からスマホを取り出す。電話だと聞こえずらそうだからメッセージにしようかな。

「お姉さん、これ落としましたよ」

今どこ?って送ったあと、近くにいた人に声をかけられた。見知らぬ男性が小さな紙を差し出している。

「このメダル引換券、お姉さんのですよね?」

「え?あ、そうみたいです。すみません、ありがとうございます」

ボウリングの受付をした時に貰ったもの。
鞄の中に入れたはずなのに無かったから、スマホを取り出した時に落としたらしい。

「由夏さん!」

軽く会釈してその場を離れ、隼人君のもとに向かう。声をかけられたタイミングからして疑われた可能性もあるわけで。

「あの」

「どれからやります?」

何事もなかったように微笑んだ。
落としたところから見ていたのかも。

「メダルゲームにしよ。いい?」

「もちろんです」

手も繋いでないし前みたいに戻れていなかったから、これ以上話がややこしくならなくて良かった。

「隼人君、メダル引換券出せる?この機械で受け取れるみたいだよ」

持っていたままだった紙に書いてあるQRコードを読み込ませる。メダルゲームをやってもらう為なんだろうけど、10枚だけでも無料で貰えるのは嬉しかった。

「同じカップに入れる?それとも別々にする?……って、え?どうしたの?大丈夫?」

振り向くと、安堵の表情を浮かべながらしゃがみこんでいた。その手には隼人君の分の引換券を持っている。

「あー、すみません。何でもないです。それ、もういらないですよね?俺が捨てておきます」

「え?ありがと」

立ち上がったと思ったら、使用済みの引換券を私の手から取ってクシャっと丸めていた。
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