年下男子は恋愛対象になりますか?
「……ハハッて、また笑ってくれる?」

質問に質問で返してしまった。
それと、この言い方もズルい気がしてきた。私が楽しく過ごしていたら、隼人君はきっと笑ってくれる。

「由夏さんが望むなら」

一瞬ポカンとしていたけど、すぐに優しい笑顔に変わってそう答えてくれて。

一緒にいたくないわけじゃない。
私だって、まだ一緒にいたい。

隼人君には言ってないから知らないだろうけど、出かける支度するため私の家に寄った時、替えの下着とメイク道具も一応持ってきてたんだよ。今も鞄の中に入ってる。

「じゃあ、行く」

ギュッと強めに手を繋がれ、東口へと繋がる通路を目指して足早に歩いていく。

タクシー乗り場で順番を待つ間も、電車に乗った頃と同じように無言が続いている。それは、隼人君のアパートに着くまで変わらなかった。

「どうぞ」

「ありがと」

玄関ドアを開けてくれたので中に入る。
昨日泊まってお昼前までいたというのに、その時とは雰囲気が違っている。

ドキドキする。
心臓がうるさい。

「……お風呂沸かしてきますね。由夏さんはゆっくりしていて下さい」

「えっ、隼人君だって疲れてるでしょ?私がやるよ。ほら、あっちで休んでて」

その場所に鞄と上着、マフラーと手袋を置いて洗面所に向かった。押しきる形になってしまったので、逃げたと思われたかもしれない。

キスされるって思った。
そして、その先も。

「……っ」

違っていたことに恥ずかしくなって、スポンジで浴槽をゴシゴシ洗っていく。

私はどうしたいんだろう。
一定の距離を取ってるのは私。それなのに、自分の気持ちが分からない。

洗面所のドアを開けてリビングへ向かおうとしたら、隼人君がキッチンでお湯を沸かしているのが見えた。近くにはカラフルなマグカップが2つ置いてある。

「お風呂ありがとうございました。コーヒー飲みますよね?」

「うん、ありがと」

さっきまでの雰囲気は、もうなくなっていた。
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