年下男子は恋愛対象になりますか?
「私のせいでごめんね。束縛みたいなことしたくないし、本当にそのまま使ってほしいとも思ってて」

これも本心。嘘じゃない。

「何度も言いますけど、由夏さんが謝ることは何もないですからね?それと、由夏さんにならガチガチに束縛されても嫌じゃないですよ」

「私は束縛したくないの。しちゃったら隼人君との関係がダメになる。だからキーケースも今まで通り使ってほしい」

無理やり使わせるみたいなのも嫌だから、誕生日かクリスマスプレゼントにって買っておいたキーケースのことは言わなかった。

手元に置いていても仕方ないし、売ってしまうのもありかもしれない。

隼人君の方に視線を戻すと、まっすぐ見つめられて逸らせなくなって。

「あの……、抱きしめてもいいですか?」

「……うん」

そう確認してきたのは私のせい。
隣に座っていた隼人君の体が近付いてくる。

久しぶりに感じる体温は温かかった。
私の右肩に顔をうずめるようにしているから、羨ましい程のサラサラ黒髪がくすぐったい。

「成人式行きたくない、です」

「ダメだよ。そういう約束でしょ」

背中にまわされていた腕が下に移動され、隼人君の左手が私の指をなぞっている。右手の薬指のみを1回だけじゃなく何回も。

無意識なのか、それとも――

「じゃあ、アレを身につけてもいいですか?」

「アレ?」

そう言って、今度はテレビボードの前へと移動していた。

引き出しの中から取り出したのは、見覚えのある小さなケース。同じ物が今も鞄の中に入っている。

「これなんですけど……」

パカッと開いて、指輪が見えた。
隼人君が買ってくれたペアリング。

「うん、隼人君の好きにして」

「出来れば……嫌じゃなければ、由夏さんにはめてもらいたいです」

指輪が私の手のひらの上にやってきて、隼人君が目の前に右手を差し出した。
< 727 / 755 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop