愛人~アイレン~
「ちょっと、聞いてよ!!」


口から溢れ出るのは、真司に対しての愚痴。
止まらない。


「幸!不満が有るなら俺に何でも話して!」
「うん。ありがとう……」


真司がまともに生活費を入れてくれない事。
その癖、高い服を沢山購入している事。
私が太った事で真司との間に溝が出来た事。


話し出したらキリが無い。


「俺なら……」
「うん?」
「俺なら、幸にそんな思いさせないのに」


嘘でも、その言葉が嬉しかった。
実際太ってから自分に自信が無くなった私。


こんな言葉を貰ったら、女として自信が持てる。


「じゃあ、私と付き合ってくれる?」
「いいの!?」


求められる事で、女としての自信を取り戻せる気がしたんだ。


「健が良ければ……」
「俺は幸を幸せにしたい……」


とは言え、本気で真司と別れて健の元に行く気は無い。


真司に対して不満ばかりだが、周りの人と比べたら裕福に暮らせている事くらいは分かっている。


それに対して、健には生活力が全く無い。


今の暮らしを捨てるなんて有り得ないんだ。


「ありがとう!」
「そのうち、幸と一緒に暮らしたい」
「私も同じだよ!」
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