砂浜に描いたうたかたの夢
「進学校って言ったっけ。偏差値いくつなの?」

「70だったかな。地元では1番なんだって」

「1番⁉ すごっ! 成績ってどのくらい?」

「……学年10位だから、そこそこ」



数秒の沈黙を挟んで答えると、さらに瞳を輝かせた。成績が中の上の彼からしたら、上の上の私が羨ましいそうだ。



「進学校の学年10位かぁ。めちゃめちゃ勉強頑張ったんだね、本当すごいよ」

「いやいや。私は部活やってなくてこれだから。部活動と両立しながら上位保ってる人に比べたら全然……。別の学校に行けば良かったかなって思ってる」



天才、優秀、将来安泰、人生勝ち組。

これらは全て、私が進学校に通っていると知った人達が、最初に口にした感想。


言われて嬉しいと感じるかは人それぞれだけど……正直、最後の言葉は全く心に響かない。むしろ腹が立つ。


勝ち組? どこが? 毎日勉強ばかりで身も心も疲弊して、しまいには家にいるのに『帰りたい』と呟いた。こんな精神状態のどこが勝ってるの?

あぁ、本当嫌になる。ひねくれて捉えてしまう自分が、余裕がなさすぎる自分がどんどん嫌になる。
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