砂浜に描いたうたかたの夢
「っ、ごめん。頑張ったんだねって褒めてくれたのに……」

「いや、俺こそ。大変だって話聞いたのに、自分勝手にペラペラ話してごめんね」



羨望の眼差しから、謝罪の眼差しに。

違うよ凪くん。謝るのは私。褒め言葉を受け取らず、謙遜どころか自己卑下で返した私のほうだよ。



「別の学校って、私立のこと?」

「うん。今の学校の近くにあって、友達がそこに通ってるの」



希望していたもう1校は、校内施設が充実した部活動が盛んな学校。偏差値は平均的で、地元の私立高校の中では1番人気があると言われている。

今の学校に落ちてたらそこに行って、寧々ちゃんと一緒に部活に入るつもりだった。



「本当はそっちに行きたかったんだけど、『勉強できるなら少しでも上を目指したほうがいい』『将来の可能性も広がるから』って、強く勧められたんだ」



合格発表があった日の夜、リビングで家族会議が行われた。

母は『好きなほうを選んでいいんだよ』と言ってくれたけど……。
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