砂浜に描いたうたかたの夢
初めて聞く情報に目を丸く見開いた。

えええー! ショッピングモールあったのー⁉
近所のスーパーまでは車で十数分だったから……中心部だと20分くらい?

時間は少しかかるけど、新幹線がある大きな町までに比べたらだいぶマシだ。



「そうだったんだ。でも、送ってもらえるかなぁ」

「大丈夫だよ。宿題のためなんだから話せば分かってくれるって。もし明日行くなら、俺、案内しようか?」



最後に放たれた言葉が脳内で何度も再生される。

案内、しようか……?

それってもしかして……。



「いい、の?」

「うん。一花ちゃんの予定さえ空いていれば」



嘘……っ、一緒にお出かけできるの⁉ やったぁ!



「ただ、1つ条件というか……」

「条件? 何?」

「俺と話す時、あまり大声で話さないでほしい」



と、喜んだのも束の間。

予想の遥か斜めをいく返答に、頭上に大きなハテナマークが浮かんだ。



「私……そんなに声大きかった?」

「いや、そうじゃなくて。実は、昔あそこで……」



言いにくそうに話を切り出した凪くん。
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