砂浜に描いたうたかたの夢

お忍びデート

翌日の午後1時20分。伯母の車で、隣町の中心部にあるショッピングモールにやってきた。

中に入るやいなや、エスカレーターに直行し、2階へ。お店のホームページでダウンロードした地図を頼りに待ち合わせ場所へ向かう。



「あっ、あった!」



婦人服売り場と紳士服売り場を通り過ぎて右に曲がると、寝具売り場が見えてきた。


誰も……来てないよね?


中に入る前に1度立ち止まり、周辺に誰もいないのを確認して、スマホのカメラで身だしなみをチェックする。


今日の服装は、黒い無地のTシャツに、ゆるっとした足首丈のデニムパンツ。

二次元だろうが三次元だろうが、推しがいる人なら、『せっかく2人で会えるのに、なんか地味じゃね?』『もっとオシャレな服なかったの?』とツッコミを入れてきそうだけど……。


私が彼と出会ったのは帰省して2日目。推しだと分かったのは3日目のこと。

出発前に会えると分かってたら、くたびれた部屋着とか地味な色の服ばかり持っていかないし!

ピンクやパステルカラーとか、ミニスカートやワンピースみたいな、可愛らしさ全開の服を着ていくに決まってるから!
< 129 / 322 >

この作品をシェア

pagetop