砂浜に描いたうたかたの夢
豆腐の包装を剥ぎながら、洗い物を終えた智に指示を出す。


見て分かる通り、白寿と百寿祝いは、桃と豆腐料理。

何が好きかこっそり観察してたんだけど、野菜もお肉もまんべんなく食べていて。聞いたら、特に好き嫌いはないとのこと。

悩んだあげく、お年寄りでも食べやすい柔らかい物を贈ることにしたのだ。

テーマカラーにも合ってるし、我ながらいいチョイスだと思う。


お皿に出した豆腐の上にかき混ぜた納豆を乗せ、その上にネギと白ゴマ、醤油をトッピング。最後に祝のマークを書いた旗を挿した。



「よし! 完成!」

「おおー! 美味そう! あっ、この旗って、もしかしてひいばあちゃん?」

「うんっ」



この旗は手作り。特別感を出そうと思い、裏に似顔絵を描いたのだ。

おぼんに移し、絵日記用と記念用に写真撮影。スプーンとフォークを添えて、居間へ向かう。


ドキドキしてきた……。この系統の料理は初めて作ったんだよね。お口に合うといいな。

喜んでもらえますように。心の中でそう願い、智の後に続いて中に入る。
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