砂浜に描いたうたかたの夢
深呼吸をした後、意を決して言い放った。

あ、あれ……?


見渡すと、なぜか全員目を丸くして固まっている。

サプライズだからビックリするのは当然なんだけど……いくらなんでも驚きすぎじゃない?


一瞬にして静寂に包まれた空気に困惑しつつ、奥にいる曾祖母の元へ。



「あの……改めて、白寿と百寿、おめで──」

「一花」



床に膝をついて言いかけたその時、私の声を遮るように誰かが名前を呼んだ。



「下げなさい」



声の主を探るように顔を動かすと、祖父の隣に座っている父と目が合った。



「えっ……なんで」

「いいから早く下げなさい」



耳をつんざくような声から一変した、低い声。
顔も、頬は赤らんでいるものの、陽気さは全くなく、目つきも鋭い。

その変貌ぶりは、ほんの数十秒前まで酔っぱらっていたとは思えないほど。


下げなさいって……そんなに匂いきつかった? だとしても、そこまで怒ること……?



「…………だよ」

「えっ?」

「なんで黙ってんだよ‼」
< 162 / 322 >

この作品をシェア

pagetop