砂浜に描いたうたかたの夢
飛んできたど直球な褒め言葉に、昨日と同様、顔がボンと熱くなった。



「っあ、ありがとう……」



少し俯き、顔を隠すように帽子を深くかぶり直す。

ズルいよ凪くん。その笑顔でその台詞は反則レベルだって……。



「……昨日は、ごめんね」



波の音に混じってボソッと呟く声が聞こえた。



「俺のせいで、怒られたよね……」



帽子をずらしながらそっと顔を上げると、前髪の隙間から下がった眉尻が見えた。



「それは……お父さんに、ってこと?」

「……うん」



耳を澄まさないと聞き取れないくらいの小さな返事。

確かに昨日はものすごい剣幕で怒られたけど……凪くんは悪くないよね? 相談しただけで一緒に作ったわけじゃないから関係ないはず。



「……あ、もしかして、話してるの見てた?」

「……ごめん。ちょっと、心配になって」



途切れ途切れな返答。


やり取り、聞かれてたんだ……。

まぁ、あんな酷い話聞かされたら、誰だって気になるか。それにお父さんの声量だと、盗み聞きする以前に耳に届いてたと思うし。
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