砂浜に描いたうたかたの夢
だとすると、唯一関わっているのは……。



「大丈夫だよ! 電話拒否したの、話せる気分じゃなかっただけで、凪くんのせいじゃないから!」



恐らく凪くんはこう考えた。

「自分が近くにいたから電話に出るのをためらった」「そのせいで父親の怒りを増幅させてしまった」のだと。


だけど、私は最初から電話に出たくなかったし、拒否ボタンを押したのも自分の意志。

長寿祝いの件と同様、全くもって悪くない。



「怒ってた理由ね、凪くんの言った通り、身内の不幸だった。先月に親戚が亡くなってたんだって」



既に全貌は知っていそうだが、自分の口からきちんと伝える。



「そっ、か……。もう、怒鳴られて、ない?」

「うんっ。なんか、私が家を飛び出した時、おじいちゃんが強烈なビンタをお見舞いしたみたいでさ」



『もう飲みすぎません』と、みんなの前で土下座していた父。伯母と祖母からも厳しく注意を受けていたため、今後暴れ狂うことはないだろう。



「それと、ぐちゃぐちゃになった料理だけど、おばあちゃんが新しい器に出してくれて! 復活したんだ!」
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