砂浜に描いたうたかたの夢
途端にいたたまれない気持ちになり、視線を落とす。

いきなり怒り出して、いきなりボール投げて、ビックリさせたよね。もし軌道がずれていたら、隣にいたジョニーに当たっていたかもしれない。


うなだれて顔を両膝に埋める。

最悪だ。私も結局親と同じで、物に当たっているじゃないか。



「ごめんねジョニー……」

「いや、今ここで謝られても。とにかく、家に帰ったらお父さんにもちゃんと謝るんだよ」

「ええー……」

「ええーじゃない。たとえ相手が悪かったとしても、1割でも自分にも非があるなら謝って。文句を言っていいのは、相手が10割悪い時だよ」



その体勢のままチラッと顔を横に向けると、真剣な眼差しと視線がぶつかった。


顔は全然似てないのに、説教する父の顔が重なって見えて、眉をひそめる。


確かにボールを投げたのは悪かった。それは認める。けど、先に謝るのはあっちじゃない?

空気を読まず余計な口出しをして、子の心に寄り添わないで言い訳して。充分私が触発する原因は作ってる。

だからお父さんが先に謝るべきだ。
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