砂浜に描いたうたかたの夢
「凪くんの馬鹿! 意地悪! チャラ男! ズルズルの男!」

「わぁ、酷い言われよう。ってかズルズルの男って何」

「女の子をドキドキさせるのが上手い、ズルい男ってことだよ!」

「ふはっ、とうとう開き直ったな」



両頬から手を離したかと思えば、「素直でよろしい」と笑い、頭の上に。

至近距離で頭をポンポンされて、顔の熱はさらに上昇。完全に凪くんのペースに呑まれている。


凪くんって、こんなに積極的だったっけ。


大人っぽい外見とは裏腹にお茶目でお金に少しルーズな部分はあるけれど、こんな風に迫ってきたり、スキンシップを取ってくることは滅多になかった。


家にいるから素の自分を出しているだけ?

もしそうだとしたら、根はかなりの女たらし……⁉



「うわぁ、睨むねぇ。『凪くーん!』って満面の笑みで駆け寄ってきてた最初の頃と大違い。いつそんな小生意気になったの?」

「元から私は生意気なんですぅ」

「ふーん、じゃあ今まで猫被ってたんだ」

「いや、そういうわけじゃ」

「マジかぁ。ショックだなぁ。ほんの数分前までは俺の上で気持ち良さそうに寝てたのに」

「だから違うって言っ……え?」
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