砂浜に描いたうたかたの夢
わざとらしく口を尖らせる彼に目を見開く。


現在お尻の下に広がっているのは、冷たくて硬い床。

だけど、寝ていた時、特に仰向けになった時は、そこまで硬さはなく。むしろ、ほどよい柔らかさと温かさを感じた。


……ということは、私が寝ていたのは、凪くんのひ、膝の……。



「凪くんの馬鹿っ! 変態!」

「ごめんって! 悪かったから勘弁してっ」



頭に乗っている手を払い、帽子でペシペシと叩いて反撃。

勝手に膝枕するなんて! もう悪いを通り越して危険な男だよ!


最後に思いっきり叩こうとしたら、家の奥からポーンポーンと音が聞こえてきた。



「これ……時計の音、だよね? 今何時?」

「多分11時じゃないかな。帰ってきたのは9時台だったけど、ここで1時間以上寝てたから」



時刻を知り、再びサーッと顔が青ざめる。



「そんな……今日おばあちゃん達と一緒にお昼ご飯食べに行く予定だったのに……」

「マジ? 何時から?」

「11時半にはお店に到着しておきたいって言ってたから……今日は少し早く解散できないかって言おうと思ってたの」
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