砂浜に描いたうたかたの夢
くるっと振り向いて、頭をポンポンと撫でた凪くん。


また子ども扱いして……!

と思ったけど……もしかして、恐怖心を和らげようとして……?


優しい意図に気づき、反撃しようと上げた手を引っ込めた。



「ここから少し下り坂だから、気をつけてね」

「分かった」



注意喚起を受け、安全性を高めるために歩幅を小さくした。足裏の感触を念入りに確かめながら進む。

けど……。



「ねぇ、本当にこの道で合ってるの?」

「うん。いつもこの辺りは暗いから。怖がらなくても大丈夫だよ」



またも心を読まれてしまい、赤面した。

帰省民とはいえ、グイグイ進むのなら土地勘ありそうだし、抜け道にも詳しいんだろうけど……。


すると、道を照らしていた太陽の光が雲によって遮られた。


お昼から雨の予報だからかな。雲の色が濃くなってきてる。

夜じゃないけど、気持ち悪いくらい静かだから、より一層不気味度が増していて怖い。

それに……なんだかどんどん道が狭くなっている気がする。
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