砂浜に描いたうたかたの夢
しわがれた声で返事をした曾祖母にそっと抱きつく。



「ごめんなさい……っ、ありがとう」



涙声で謝罪と感謝を伝えると、背中を優しく擦られた。


せっかく休んでたのに、また心配かけて、最後まで人騒がせな子孫で本当にごめんなさい。

ひいおばあちゃん、ずっと信じて待っていてくれてありがとう。

ひいおじいちゃんも、ひいおばあちゃんの願いを叶えてくれてありがとう。


後ろですすり泣く複数の声を耳にしながら、涙が収まるまで愛の温もりに浸ったのだった。







壁掛け時計が鳴った午後3時。

涙を流しきったところで軽く食事を取り、家族全員で居間のテーブルを囲む。



「……つまり、その若くて綺麗な王子様みたいな人がSNSで繋がった友達で、溺れた一花を砂浜に運んでくれたんだな?」

「うん」



簡潔にまとめた父に頷く。

秘密にしていたけれど、家族を巻き込む大騒動となってしまったので、先週の出会いから今日までの出来事を、隠すことなく全て話した。
< 262 / 322 >

この作品をシェア

pagetop