砂浜に描いたうたかたの夢
ユキエ? 誰? 女の人?


老眼のひいおばあちゃんまでも見間違えるとは……。

これなら「可愛い」と言われて過敏に反応するのも、ムキになるのも分かるかも。

今度は誰だろう。呼び捨てなら友達か姉妹かな?



「母さんっ、違うよ! この子は凪くんだよ!」

「ええっ⁉」



祖父が慌てて訂正した後、出てきた名前に即座に反応した。



「おじいちゃん、凪くんのこと知ってるの⁉」

「まぁ……うん」



膝立ちして顔を近づけるも、バツが悪そうに目を逸らされた。

祖母も伯母も、そして父も、なぜか私と目を合わせようとしない。


嘘……やっぱりまた何かやらかした⁉



「……一花」

「は、はいっ」



斜め前から確認する低い声が飛んできて、背筋を正して座り直す。



「……本当に、この子と1週間、会ってたんだな?」
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