砂浜に描いたうたかたの夢
けど……現時点で、進学先は1つしか選べない。

入る順番や学校を間違えたら、それこそ夢から遠のきそうだし……。


歩くこと数分。再び横断歩道にやってきた。



「よし、分かった。とりあえず、お前は一旦進路のこと考えるのやめろ」

「えっ、なんで」

「焦る気持ちは分かる。けど……精神不安定な状態で、まともな判断ができるか?」



そう述べると、理桜は歩行者用のボタンを押した。

3度目のストレートな発言を受けて、ハッと気づく。


普段元気な理桜でさえ、高校受験の時は志望校を変えようかギリギリまで迷っていた。
誰だって人生の岐路に立ったら、多少悩むに決まってるはずだ。



「考えても答えが出ない時は、一旦離れる。失せ物も、捜すのをやめたら出てきたって話、よく聞くだろ? ってことで、テスト終わったら海水浴に行こうぜ!」

「…………は?」



信号が変わり、小走りで理桜の後を追う。



「話は分かったけど……なんで海水浴?」

「気分転換だよ。壮大な景色を見たら、悩みがちっぽけに思えるかもしれねーだろ? もうすぐ海開きだし、だだっ広い海を見て癒やされようぜ!」
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