砂浜に描いたうたかたの夢
本日2回目の、白い歯が眩しい笑顔。


それ、単にお前が海に行きたいだけなんじゃ……。

……まぁでも、気分転換にはピッタリだな。それに、高校最後の夏だし。思い出作りも兼ねて行くか。


帰宅して早速、部屋のカレンダーに予定を書き込んだ。







7月上旬。土曜日の午前7時9分。玄関にて荷物の最終確認を行う。


今日は待ちに待った海水浴の日。

メンバーは、理桜と俺。そして鋼太郎と桃士。
急だったけど、事情を話したら『友のためなら!』と快く承諾してくれたんだ。



「凪くん、これ」



靴を履いていると、祖父が紙袋を渡してきた。



「ひいおばあちゃん達によろしくね。いってらっしゃい」

「うん。いってきます」



お土産が入った紙袋を受け取って外へ。自転車のかごに荷物を入れ、鍵を挿して動かす。


先月、海水浴に行きたいと相談した際、その海岸の近くに曾祖母の家があることが判明した。

祖父が連絡をすると、『近くに来るならぜひ会いたい』と言われて。帰省も兼ねてお邪魔することになったのだ。
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