砂浜に描いたうたかたの夢
「おーい! 凪くーん!」



顔を上げると、前方に両手を大きく振るおじいさんの姿を視界に捉えた。



「久しぶり。長旅お疲れ様」

「こんにちは。今日はよろしくお願いします」



駆け寄り、帽子を取って挨拶をした。

この人は祖母の弟のヒロマサさん。父の叔父で、俺からすると大叔父に当たる人だ。


案内する彼に着いていくと、瓦屋根の平屋が見えてきた。

そういえば、結構大きな家だったっけ。部屋が多くて、従兄弟らしき人達と一緒にかくれんぼした記憶がある。



「ただいまー。連れてきたよー」

「はーい」



曇りガラスの引き戸に向かい、ヒロマサさんの後に続いて中に入ると、奥からおばあさんが小走りでやってきた。



「いらっしゃい。遠いところから来てくれてありがとね」

「こんにちは。今日はよろしくお願いします。これ、お土産です」

「あらぁ! ありがとう!」



紙袋を嬉しそうに受け取った彼女。

明るめのブラウンヘアにパステルオレンジのカーディガン。爽やかで若々しい印象のこの女性は、ヒロマサさんの妻のヒロコさん。大叔母に当たる人だ。
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