砂浜に描いたうたかたの夢
あのクソババア、マジであり得ない。


長時間の遠出だから心配なのかもしれないけどさ……これから出発って時に、わざわざ明日の予定言うか⁉ あれ、完全に水を差す言動だったよな⁉

つーかもう小学生じゃないんだし、「気をつけてね」でいいだろ!


怒りをペダルに乗せて漕ぐこと十数分。出発する駅に到着。全員揃ったところで切符を買い、電車に乗り込んだ。



「にしても、まさか凪のひいばあちゃんに会えるとはなー。何歳なの?」

「98。今年で99って言ってた」

「すご〜い。もうすぐ100歳だぁ」

「なるほど。数え年だと百寿か。だから少し高価なお土産なんだな」

「そうそう」



座席を向かい合わせにして座り、声を抑えて話す。


前回曾祖母の家に帰省したのは、曾祖父が生きていた頃。俺が小3の時の時に亡くなったから……9年くらい前になるのか。

覚えててくれてるかなぁ。「どちら様ですか?」なんて言われなきゃいいけど。


電車を乗り継ぎ、出発から約4時間が経過。駅からバスに乗り、曾祖母の家がある町へ。

最寄りのバス停で降車し、もらった地図を頼りに住宅街を歩く。
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