砂浜に描いたうたかたの夢
炎天下の中、歩くこと十数分。海岸に到着した。



「凪! 撮って撮って!」



階段を下りるやいなや、浅瀬に直行した理桜。桃士と鋼太郎も、波に当たっては笑みをこぼしている。

小さな子どものようにはしゃぐ彼らを、スマホのカメラで撮影した。


本当は俺もあんな風に入りたいけど、またクラゲに刺されるのは怖いから。代わりにあいつらの姿を写真に収めよう。


犬かきで泳ぐ理桜や、浅瀬でくつろぐ桃士、漂流物を観察する鋼太郎。

場所を変えて数十枚ほど撮った後、階段に腰を下ろし、リュックサックを開けた。


スケッチブックとペンケース。
写真撮影だけだと飽きると思い、時間潰し用に持ってきたのだ。


ページをめくり、塗りかけの絵に赤とピンクの色鉛筆で色を付けていく。

行きの電車の中でも塗っていた、二花さんのアイコンの絵。中学卒業祝いのプレゼントに描いてほしいと頼まれて、今月で4ヶ月が経つ。そろそろ完成させないと。



「なーにしてるの」
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