砂浜に描いたうたかたの夢
突然頭上から声が聞こえてビクッと肩が揺れた。

顔を上げると、タオルを首にかけた理桜がペットボトル片手に手元を覗いていた。



「また塗り絵?」

「頼まれ物なんだよ。そっちは休憩?」

「おぅ」



隣に座った理桜と2人で海を眺める。

すると、浅瀬ではしゃぐ桃士が鋼太郎に容赦なく水をかけた。

ふはっ、ずぶ濡れ。これも写真に撮っておこうかな。



「あれ? ない。って、理桜! 何してるんだよ!」

「んー? 忙しいお前の代わりに写真撮ってあげてる」

「馬鹿っ、返せ。また変な写真増えるだろ!」



奪うようにスマホを取り返した。


まったく……油断も隙もない。

理桜は俺のスマホで写真を撮るのが好きらしく、気づいたら、カメラフォルダに見に覚えのない写真が大量に保存されていることがしばしばある。

容量圧迫する前に消さないと……。



「あれ? 開かない。お前っ、またやりやがったな⁉」

「へへーん。今回はそう簡単に消されてたまるかよー」

「あっ! おい!」
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