砂浜に描いたうたかたの夢
「いらっしゃい。来てくれてありがとね」



出迎えてくれたのは、予想通り祖母だった。

短く切り揃えられた明るめのブラウンヘアに、淡い黄色のカーディガンを羽織っている。

夏っぽく爽やかな色合いがオシャレだ。



「智くんも一花ちゃんも、大きくなったねぇ」

「へへへっ。もうDKですから!」

「あらま、もうそんな年なんだねぇ」

「えっ、おばあちゃん、意味分かるの⁉」



にこやかに頷いた祖母に思わず口を挟んだ。


流行り廃りが激しい若者言葉なんて、絶対分かんないと思ってたのに。

でも、この見た目からすると流行には敏感そうだし。もしかしたら聞いたことがあったのかも。


「お邪魔します」と挨拶をして家に上がり、別室に荷物を置いて祖父達が待つ居間へ。



「こんにちはー」

「こ、こんにちはっ」

「おお、みんないらっしゃい」



智と一緒に襖を開けると、紺色のポロシャツを着た祖父が目を細めて迎えてくれた。

ひいおばあちゃんの姿を探そうと、辺りを見渡してみたのだけれど……。
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