砂浜に描いたうたかたの夢
半分聞き流しながら頷いていると、部屋の外から伯母に呼ばれた。
居間を後にし、廊下を歩いて奥の部屋へ向かう。



「おばあちゃん、連れてきたよ」



伯母の後ろからそっと顔を出した。

パイプベッドに座っている、花柄のブラウスを身にまとったおばあさん。隣にいる祖母に背中を擦られながら、穏やかな笑みを浮かべている。



「お義母さん、覚えてる? 智くんと一花ちゃん」

「こんにちはー。ひ孫の智でーす。DK1年生だよ!」



部屋に入るやいなや、智が先陣を切って挨拶をした。

祖父母の時と変わらないテンションで近づき、そのまま手を取って握手。


あっちからしたら、DKって何だよって感じだけど、「よく来たねぇ」と笑っている。智は大丈夫だったようだ。



「さ、一花ちゃんも」



伯母に背中を押されて、自分も彼女の元へ。


私のこと、覚えてるかな。


お父さんが言うには、話はできる反面、老眼が進んであまり目は見えていないんだとか。

私が来ることも一応伝えてはいるみたいだけど……どうだろう。
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