砂浜に描いたうたかたの夢
「こんにちは……智と同じく、ひ孫の一花です」



智の陰から顔を出して、恐る恐る自己紹介をした。

彼に向いていた視線がゆっくりと自分に向く。


うわぁぁ、めちゃめちゃ見られてる。眼差しは全然怖くないのに、緊張で心臓がバクバク鳴っててうるさい。



「あ、あの……」



聞こえなかったのかなと思い、再度名乗ろうと口を開いたその時。



「……タダシさん?」



え……? タダシさん? 誰?



「お義母さんっ、違うよ! 一花ちゃん! ひ孫だよ!」

「あぁ、そうかい? それは失礼しました」



深々と頭を下げて謝罪した曾祖母。


どちら様ですかとは言われなかったから良かったものの……知らない人に間違えられるのも、なんか複雑だな。ましてや、女の人じゃなくて男の人に。

老眼で見えにくいのなら仕方ないんだけどね。


その後、曾祖母と一緒に居間に戻った。

少し談笑し、時計の針が正午を指したところで、昼食の準備に取りかかることに。
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