砂浜に描いたうたかたの夢
「大人っぽいですね……」

「よく言われます。今高3なんですけど、制服着てても会社員に間違えられるんですよ。お姉さんは何年生ですか?」

「1年生です……」



同じ学生とはいえ、年齢はやはり上だった。


制服姿でも社会人か……。

私も年上に見られたことはあるけれど、それは顔と背丈だけ。立ち居振る舞いや言葉遣いは、小学生の頃から変わっていない。

外見だけの私より、中身までしっかりしているお兄さんのほうが断然大人だ。


軽く落ち込んだものの、この田舎町での同年代はなかなか貴重。
お互い1人で時間も余っていたので、少しお話しすることに。



「絵日記の宿題かぁ。それで写真撮ってたんですね」

「はいっ。今朝も犬の散歩中に撮ったんです」



近くの階段に腰かけてスマホ画面を見せる。

オレンジ色に光る海と、金色の毛を風になびかせるジョニーの横顔。動画も撮っていたのでそれも一緒に見せた。



「どれも綺麗ですね。ワンちゃんも可愛い。僕のところにも犬がいるんですよ。3匹」

「3匹も⁉ どんな子ですか?」
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