砂浜に描いたうたかたの夢
「……あの、これっていつ描いたんですか?」

「冬休みです。クリスマスの後なので、26か27くらいだったと……」



チラッと視線を動かすと、無表情で絵を見つめている。

さっきよりも反応が薄いな。リアルに描きすぎて驚かせたとか⁉



「あの……違ったらすみません。もしかして、『二花』さんですか?」



見せたことを後悔していたら、真っ直ぐな眼差しで問いかけられた。


二花──それは、SNS上での私の名前。

この名前を知っているのは、アカウントをフォローしている同級生や一部のクラスメイトのみ。

しかし、このお兄さんとは会うのは2回目。全く面識がない。

ということは……。



「そう、ですけど……もしかしてフォロワーさん?」

「はい。僕、以前DMでやり取りしていた、『フウト』っていう者なんですけど……」



彼が発した名前が脳内に響き、心臓の音が速さを増していく。

数少ないフォロワーの中で、そう名乗っている人はたった1人だけ。
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