彦星さまは会いたくてたまらない
「彦星に会いたくて辛いのに
その辛さを僕には見せないの。
七夕で自分の願いが叶わなくても
願いが叶わなかった
友達の背中をさする子だよ?
いい子過ぎ。可愛すぎ。
ほんと……大好き」
凛空はうつむき
痛々しい瞳を揺らしている。
そんな彼に
なんて言葉をかけていいか
わからない。
『俺は生徒には手を出さない。
前世の記憶も全くない。
だから、俺のことは気にせず
姫野と仲良くやって』
大人として、教師として
そう伝えるべきだよな?
頭では
わかっているんだけど……
俺の口は頑固な貝のように
全く開こうとしない。