彦星さまは会いたくてたまらない
俺の頭の中が
真っ白になった。
目の前には、涙で
ぐしょぐしょになりながら
姫野を想って
痛々しく微笑んでいる
凛空がいて
俺の心の中には
確実に姫野に惹かれている
自分がいる。
今でもまだ、信じられない。
俺が前世で、彦星だったなんて。
姫野が織姫で
俺が仕事を放り出してまで
溺愛していたなんて。
俺が今生きているのは、前世ではない。
彦星という牛飼いでもなく
光彦という名の高校教師だ。
俺は前世なんか信じない。
だから。
この生徒の……
凛空の幸せを考えてあげること。
それは
教師である俺の役目だよな?