彦星さまは会いたくてたまらない







俺の頭の中が

真っ白になった。




目の前には、涙で

ぐしょぐしょになりながら

姫野を想って

痛々しく微笑んでいる

凛空がいて



俺の心の中には

確実に姫野に惹かれている

自分がいる。





今でもまだ、信じられない。

俺が前世で、彦星だったなんて。




姫野が織姫で

俺が仕事を放り出してまで

溺愛していたなんて。





俺が今生きているのは、前世ではない。



彦星という牛飼いでもなく

光彦という名の高校教師だ。




俺は前世なんか信じない。

だから。



この生徒の……

凛空の幸せを考えてあげること。



それは

教師である俺の役目だよな?



< 99 / 199 >

この作品をシェア

pagetop