彦星さまは会いたくてたまらない
俺は、凛空の頭に手を置いた。
深呼吸をして
保健室の先生のような
おおらかな笑顔を浮かべる。
「凛空が姫野を
大好きなのはわかった。
けどさ、前世の記憶がない俺を
巻き込むのは、
おかしいだろうが」
「だって……」
「俺は教師だ。
生徒には絶対に手を出さない。
そんな俺が
姫野を好きになると思うか?」
「……彦ちゃん」
「姫野のことは
オマエの好きなようにすればいい。
まぁ、こんな泣き虫ウサギを
姫野が好きになるかは
わからないけどな」
「彦ちゃんずるいよ……
優しい先生ぶりながら
僕をいじってくるなんて……」
「オマエはこういう
ド甘×ドS攻撃が
心地よく感じる人種だろ?」
「勝手に決めつける。
まぁ~
間違ってないんだけどね」
凛空が笑っている。
泣きはらした目をこすりながら。
そして
窓までスキップすると
雨が降り続く窓の外を、眺めだした。