彦星さまは会いたくてたまらない



俺は、凛空の頭に手を置いた。



深呼吸をして

保健室の先生のような

おおらかな笑顔を浮かべる。




「凛空が姫野を
 大好きなのはわかった。

 けどさ、前世の記憶がない俺を
 巻き込むのは、
 おかしいだろうが」



「だって……」



「俺は教師だ。
 生徒には絶対に手を出さない。

 そんな俺が
 姫野を好きになると思うか?」



「……彦ちゃん」



「姫野のことは
 オマエの好きなようにすればいい。

 まぁ、こんな泣き虫ウサギを
 姫野が好きになるかは
 わからないけどな」



「彦ちゃんずるいよ……

 優しい先生ぶりながら
 僕をいじってくるなんて……」



「オマエはこういう
 ド甘×ドS攻撃が
 心地よく感じる人種だろ?」



「勝手に決めつける。

 まぁ~
 間違ってないんだけどね」




凛空が笑っている。

泣きはらした目をこすりながら。



そして

窓までスキップすると

雨が降り続く窓の外を、眺めだした。
 

< 100 / 199 >

この作品をシェア

pagetop