あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
地上から高く上へと勢いよく飛び出し、その豪華な姿を魅せる花火達。


次から次へと鮮やかな色で、大きく、くっきりと描かれていく。


咲いてはすぐに散りゆく、たった数秒間の儚くも美しい花火の競演。


川の向こう岸に見える低い花火は、水面にも映り込み、キラキラときらめいて、また違う趣で皆を楽しませている。


「すごく綺麗」


「ああ、綺麗だ」


十分過ぎる程堪能した最後を飾るのは、メインのスターマイン。


数百発の様々な花火が連続して見事に打ち上がる。


あまりにも壮大で美しい世界観。


目の前に広がる夢のような光景に、心をグッと掴まれ、何ともいえない感動が胸に押し寄せた。


涙を堪える自分を見せるのは、正直、はばかられる。


今まで、人前で泣くことなど1度もなかったから。


でも、彩葉になら、自分の弱さも含めた全てを見せてもいいと思った。


どうしてそんなに可愛いのか、どうしてそんなに魅力的なのか、どうしてそんなに……


どんどん溢れ出すこの想い。


彩葉、君が愛おしい。


ずっと君を見ていたい。


君にもう一度出会えて……本当に良かった。


花火が終わってもその感動が冷めることはなく、余韻を噛み締めるように、俺達は手を繋いだまま……同じ道を帰った。
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