あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
ゆっくりと歩きながら、俺は勇気を出して言った。


「一緒に暮らそう。今の保育園から近い場所に新しいマンションが建ったんだ。そこに3人で住みたいと思ってる。すぐにでも、いいだろ?」


彩葉は急な申し出に戸惑っているようだった。


引っ越し、家賃のこと、これからの生活のこと、簡単ではないことはわかるつもりだ。


「俺は君の夫になる。雪都の父親になるんだ。君が保育士を続けたいならもちろん応援する。でも、生活の一切、経済的なことは何も心配してほしくない」


彩葉はなかなか「うん」とは言わなかったが、最後は納得してくれた。


何度も謝る彩葉に、俺は続けた。


「俺は『この人さえいてくれれば安心だ』と思ってもらいたい。経済的なことだけじゃなく、いろんな面で頼れる男になる。だから、精一杯甘えてほしい」
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