あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「いいですよね。好きな人と一緒に暮らせるなんて。どんな感じなのかな……本当にうらやましいです」


「理久先生……ごめんね」


「すみません、謝らせて。嫌味でしたよね、ごめんなさい」


本当に情けないな、僕は。


かっこ悪い。


「理久先生の気持ちに応えられなくて申し訳なかったって……すごく思ってる」


彩葉先生をこんなに悩ませて、僕の方が申し訳ないよ。


でも……


「僕は九条グループの御曹司には勝てないです。ましてやあんなにイケメンで賢くて優しくて。全てにおいて劣ってる」


溢れる想いはどうして消せなくて、結局、こうしてまた大好きな人を悩ませてしまう。


「理久先生……本当にそんなことないよ。理久先生には理久先生の良いとこがたくさんある。私は知ってるよ。だから、そんなこと言わないで」


必死に言ってくれる彩葉先生の言葉、すごく嬉しい。


なのに、その言葉が余計に自分自身を追い込んでしまうんだ。
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