あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
眉目秀麗、甘いマスク、ハンサム、一世一代の美形……どれであってもピッタリ当てはまる。


でも……


なぜ私はそんな人の横にいるの?


しかも、上から下まで何も着けてない状態で。


とにかくその答えを探したくて、頭の中をフル回転させ時間をさかのぼる。


あっ……


しばらくしてある映像が浮かんだ。


そうだ、私……九条さんと……


「彩葉? 大丈夫?」


「……あの、私……」


九条さんもゆっくりと体を起こした。


一糸まとわぬその鍛え上げられた裸体は、逞しく、美しく、まるで古代ギリシャの彫刻のよう。


その大人の艶めかしい肉体美を直視できずに思わず視線を逸らすけど、心臓は正直に激しく脈打ち出した。


そうだ、私、この体に……


さっきまで夢中で抱かれてたんだ。


その感覚がまだ体中のあちこちに残ってる。


でも、この素晴らしい胸板にほとばしっていたはずの汗の雫は……もうすっかり乾いていた。
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